布選びはたのしい。
作品づくりでは、自分で織った布と購入した布、どちらも使っています。
キッチンクロスなどの消耗品には、購入した布を使うことが多いです。
オフホワイトの平織りのリネン。
やや薄地~普通地の布で、しっかりと目のつまった上品な生地です。
linen dish cloth
あづま袋
この布は私の地元倉敷市の工場で織られています。
ジーンズやガーゼ素材などを主力にしている会社で、織りだけでなく染色や加工も自社でされています。(一貫生産体制なところが強みだと思う。)
布は工場へ出向き、直接買っています。
活動を始めてからはこのリネンを使って、キッチンクロスやあづま袋をたくさん仕立ててきました。
キッチンクロスなど生活で多用する布の素材選びはとくに大事にしていて、布が決まればもうほとんど完成したようなもの。私はちょうどいいサイズに仕立てて送り出すだけですから。いい布と買い手のみなさまをつなぐ人、と思って黙々と作業します。
使う布は「なるべく国内のものを」と決めて選んでいます。
今では裏地なども含め、使用するほとんどの布を国内製織のものに変えました。
(芯地など一部のみ海外製のものも使います。)
倉敷の布がメインですが、リネンはリネンの、綿は綿の製織に強い地域がありますから、そういった産地の布も積極的に利用しています。
(紡績についても可能な限り国内のものを選びます。)
国内の布にこだわって仕入れていますし、みなさまにお届けする布たちはどれも美しい。ですが、必ずしも「国産が良質だ」と思っているわけではないというのも、付け加えておきます。
言い換えると、海外製品が粗悪だから使わない、と思っているわけではないです。
海外で作られる布ももちろん大好き!ヨーロッパのリネン。インドのカディ。アジアのプリント布も!
ではなぜ国内製造のものにこだわるのかというと、顔の見える関係が便利だということと、日本のものづくりを残したいという思いがあるからです。
日本で流通している布については、糸の原料となる綿やフラックスなどはすべて(といっていいと思う)が海外製ですし、製糸や紡績も海外製のものが多いです。(日本の紡績メーカーも工場は海外に持っていることが多い。)染色、製織、縫製などは、まだまだ日本の職人さんたちもがんばっていますが、アパレル製品のほとんどを輸入に頼る現状からすると、きびしい状況が続いているのだと思います。
参考までに、2013年に7136あった織物業の事業所は、2020年には3839と激減しています。また、製糸業、紡績業、化学繊維・撚糸等製造業では、その数は2534から1103と半減しています。(経済産業省工業統計調査より)
私ひとりの力で何かができるとは、思っていません。
ですが、日本には日本のそれぞれの風土の布があって、私はそれをおもしろいと思っています。だから、使いたいし、残したいと思っているのです。
ちなみに、私の住んでいる倉敷では、ほかにも帆布、畳縁(たたみべり)、紐などの織物工場がわずかながら残っています。また、ジーンズや学生服の縫製工場があり、それに付随する形でミシン屋さん、ボタン屋さん、染色屋さんなどがあります。若い方のアパレルショップも多いです。
倉敷の繊維業は歴史の流れを汲みながら現在に続いています。厳しいながらも、技術をもった職人さんがたくさんおられます。
みなさんの町はどうでしょう。
きっと、すてきな風土の布があると思いますよ。
何か発見があったら教えてほしいな~