キッチンクロスと自尊心
みなさまは、キッチンの布はどのようなものをお使いですか?
素材、サイズ、色。
こだわりがおありでしょうか。
わたしは自分が良いと思う白いクロスや手織りクロスをつくり販売し、自分でも使っています。そのほかのクロスを買って試すこともありますが、基本は自分の商品を使います。
今でこそこだわりを持っていますが、それまではキッチンまわりの布に苦労していました。気に入ったものになかなか出会えず、安価なものやいただきもののタオルなどで代用する日々。
どうせすぐ汚れるし、それで充分…と言い聞かせつつも、気に入ったものを使えないストレスがありました。消耗品だから何でもよいという思いと、毎日使うものだからこそこだわりたいという思い。どちらの気持ちもありました。「間に合わせのものを使う」という状態はいつしか常態化して(大げさかもしれませんが)私の自尊心は少しずつ削られていきました。
そんなわけで、madokakyukiとして活動を始めたときに、台所の布をつくることは私のための課題でした。きっかけは自分のためですが…よいクロスをつくってみなさまに届けることができれば、私のように憂鬱な気分でキッチンに立つ人が減るのではと思ったのです。
クロスづくりの条件は、生地がよいこと、シンプルであること、白無地であることの3つでした。(世の中にはたくさんのクロスがありますが、白無地のものは意外と種類が少ないです。)そうして試作をかさね、自分にとっての理想のクロスを作りました。
それからというもの、台所しごとがはかどり、家事もたのしく…とまではいかないのですが、
少なくとも好きな布が台所にかかっているとうれしいですし、自分で選んだものを使っているという満足感もあります。白色は汚れが目立ちますが、白ものの汚れは「落ちます」。これも、デメリットのようでいてメリットのひとつだと思っています。なんというか、どうせ落ちるしどんとこい!な気持ちになるのです…。
ものづくりはどこに向かうのか
madokayukiの商品は、手織りや手染めのものもありますが、織物工場の生地をつかったものもあります。
雑多なようですが、基本に素材(もの)とそれを形にする人へのリスペクトがあります。わたしがすることは、できあがった糸や布の良さを活かして商品にすること。その思いは一貫しています。リスペクトがあるから、もったいない使い方はしません。直線裁ちを基本にして、それでも出たハギレはパッチワークに利用します。(だから、kurumu や tsutsumu といったシンプルなかたちの小物が多いです。)
国内製造の美しい生地をつかって何かつくれないだろうか。
高級なものではなく、日常のくらしにとけこむような何か…
そんな思いで計画し、商品化しているものに、今回の記事に書いているクロス類のほかに、あづま袋、ショールなどがあります。
白無地のクロスは一見地味ではありますが、ずっと作りつづけたいもののひとつです。
わたしがしたいことが詰まっている作品だと思っています。
私はまず、私のために仕事をします。美しい布が好きだからです。
世の中にはたくさんの「もの」があって、どれを選んだらよいのかわからないほどで、
困ってしまうことが多々あります。私はキッチンクロスの1枚も選べませんでした。
けれど、だからこそ理由のあるものを作りたいです。つくり手の顔の見えるものづくりをしてゆきたいです。
毎日つかう布、台所の布。
安さで選んでもいいし、柄で選んでもいい。大きさのこだわりがあるかもしれない。
このクロスたちは、私のほしい、から生まれたクロスです。
同じように台所の布で困っている方がいましたら、ぜひ試してほしいと思います。
みなさまがそれぞれに、お気に入りのものに出会えることを願っております。
ショップページには、単品のクロスとセット販売のものをご用意いたしました。
キッチンクロス、大判キッチンクロス、台ふきん、手ぬぐいのラインナップです。
セット商品は写真のように、リネンガーゼに包んで特別なラッピングでお送りします○
お届けまでお時間を頂戴いたしますが、新年のクロスにいかがでしょうか。
みなさまの新しい年が、豊かなものでありますように。
madokayuki
ユウキマドカ